SHOTGRID(旧Shotgun)を普段使用しているので感想を書いてみようと思う。
便利なサービスですが、個人向けではない分あまり情報が出回っていないように感じるので。
SHOTGRIDとは何か?
そもそもSHOTGRIDは何かというとAutodeskが出しているプロジェクトの管理をクラウド行うサービスだ。バージョン管理もできるのでgithubに似ているのかなと思う。
作ったムービーをShot(カットのこと)単位でアップしてリテイクを出していった過去バージョンもクラウドに保管されている。リテイク内容やアセット(モデル)も管理できる。
パイプラインという工程管理も得意だ。だれが何をやっているのかタスクの管理を見える化する。
個人で使用という感じよりは企業向けのサービスだ。大規模プロジェクトで力を発揮する。
1ユーザーあたり年間4万円弱という料金なので個人だと手が出しにくいのもあるでしょう。
SHOTGRIDは何をやってくれるのか?
アニメのカット作りで使っている私の個人的見解だが、ざっくりいうと今まで制作進行の方がやっていたことの一部を各自アーティストがセルフサービスでやってねって感じだ。
データのアップとかどこまで進んでいるとか。自分でステータス呼ばれるところチェック待ちとかチェック済みとかに変えていく。
うまく使いこなせればSHOTGRIDを見れば全体の進捗具合がリアルタイムで分かるようになる。
ワークフローの明確化とルールが必要
うまく使いこなすためにはSHOTGRIDをうまく構築する作る必要がある。
うまく作るとは何か?
SHOTGRIDは明確に文章化してタスクとして落とし込んでいく必要がある。
ルールが曖昧だったり誰がどの部分をやるの?とかが明確化してないと使いにくいだろう。SHOTGRIDのどこにその情報を記入したらいいの?ってなる。
だからSHOTGRIDを使うためにはまずワークフローとルール作りから始めることになる。
そうしないとSHOTGRIDで管理でするのが面倒になるでしょう。
エクセルじゃなくてデータベース
SHOTGRIDは自由度高いです。
広告とかだとエクセルの代わりに使えるって書いてありますが、本当にエクセルの代わりに使おうと思うと使えねーってなると思います。
この話数では服の状態とかのリストが必要だからこの項目を足そうとすると、一度その項目のデータ情報を全体のデータベースに追加してから、使いたいページに追加することになりあまり気軽に追加できないのです。
データベースに追加された項目は全体で使えるようになります。なってしまいます。そういった細かい大量に作ると全体を整理する時に使いにくくなります。
SHOTGRIDはタグ式といいますか、行列やセルごとに管理されていてデータベースに登録されています。見ているページはそのデータベースから情報を引っ張ってきます。
他の話数やプロジェクトに影響を与えずにこの見ているページのみ変更したいのに、みたいなのが気がするに行えません。今だけの例外の情報を取り扱うのが苦手です。
そういう場合は新しく項目を別途で作る必要があります。
操作性が悪い
少しずつ改善しているので少しずつマシになっているのですが、全体的に圧倒的に操作性が悪いです。
目的の情報までたどり着くのや、ちょっとした情報を足そうと思うと使いにくいです。
エクセルみたいにセルの右下のところ引っ張ってコピーや順番に数字増やしていったりなどできません。とういか普通のCtrl + cでコピーもままなりません。右クリックから専用のツールを起動してコピーや変更などいちいち面倒なところがあります。
あと圧倒的に重いです。うまいこと作らないとページがすごく重くなるので注意が必要です。ページをちょっと切り替えたいだけなのに6~7秒とかかかるときがあります。
それくらいって思うかもしれませんが、目的のページにたどり着くまで3~4ページ分くらいの切り替えを行ったりするのでひっかる感じが使いにくいです。
どうやらデータベースの使用上毎回データを引っ張ってきてページを構築しているため重いようです。
社内開発が前提?
SHOTGRIDの機能をフル活用しようと思うと社内開発のツールがあったほうがよいです。おそらくそれ前提な気がします。
プロジェクトやスタジオごとにワーフクローが異なるのでSHOTGRIDのベースの機能は必要最低限に感じます。
連携用のプログラム用意してあったりするのでそういうことなのかなって思います。
そのままでも便利な部分もありますが、やはり物足りないというか不便な部分が多いです。
たまに落ちる
そんなに問題ないのですが、たまにサーバーが落ちることがあります。しかしこれはウェブサービスなので仕方ないですね。
しかし締め切り間際とか時間がない時だと焦るので、最悪ローカル環境でも作業を進められるようにしておいたほうよいでしょう。
容量無限大(今のところ)
SHOTGRIDの素晴らしいと思うところはデータのアップロード容量が(今のところは)無制限です。
映像系のデータは容量が大きいことが多いのでありがたいです。
3dデータなどもバックアップとしてアップしておくこともできます。
ただ一括ダウンロード機能とかなさそうなのでSHOTGRIDの契約を終了するとすべてデータなくなるので注意。
RV
現在はオープンソースになりましたが、RVという再生プレイヤーが付属していて大変優秀です。Keyframe MPというフリーの優秀な再生プレイヤーがあるのですが、これの上位互換だと思っています。
前後カットをつなげて再生やOpenExrなどZ深度など複数チャンネルの情報をもったデータを個別で表示などもできます。
動画の共有が優秀
SHOTGRIDを使ってみて感動したのは動画の再生が良いです。
カットの動画を一覧表示してONマウスしてマウスを左右に動かすと再生されるのです。これは便利です。
現在行っているカットの前後カットなども簡単に見ることができるので前後カットの合わせなど確認したいときに便利です。
組織に根付かせるには
色々と不満点も書きましたがあれば便利だと思います。ただ作業者側からするとUIの使い勝手が悪かったりセルフサービスになったりする部分もあるので組織に定着させようとすると少し難しいかもしれません。
作業者が使いやすくするためにはSHOTGRIDを整理する必要があるのですが、おそらくうまく作れる人は少ないでしょう。作業者目線で構造的にはプログラマー的な発想で構築する必要があります。
SHOTGRIDはプログラム自体は書けなくても構築できますが、考え方的にはプログラム的なのでノードを組み合わせるノーコードみたいなものです。
それにプロジェクト全体に影響を与える項目や設定が多いのでトライ&エラーがしにくいです。理想は小さなプロジェクトや一部分(動画だけアップなど)だけ使い始めて仕様を固めていければよいのかなって思います。
(一度定着させるのに失敗しのたで、私の場合は必要なデータを無理やりSHOTGRID上にしかないようにして無理やり使わないとダメな状況にするという強行を行いましたが、、、)
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